No,29 Clinical Psychology 「発達障害がある方への対応〜彼らの周りにいる人へ向けてのメッセージ〜Ⅱ」

長くなってしまったので2つに分けました。続いて「理解と対応」について述べます。


<理解と対応>

さて前述した内容で、発達障害を見つけるポイントと、支援につなげるレベルのことを書きました。

では、具体的に対応としてはどうすればいいのでしょうか?


それには発達障害と思われる本人の自己理解によって変わります。


つまり、自身のコミュニケーションによって本人自身も困っているか?それとも全く気がついていないか?ということです

まず、気がついている方に対処する場合です。

気がついている方は、自身の特性故、困っていることやなぜかわからないけど嫌な想いをするという経験がある場合が多いです。

その部分を拾い上げてあげ、「こういうこと(例えば、間違えが多い)が多いようだけど、そのことで困ってない?」と聞いてあげたり、「人間関係で大変そうだけどどう?」という様に声かけしてあげます。

そうすると自身で困っている感がある人は、「あぁ〜、確かに上手く行かないことがおおいなぁ」と問題を理解できるかと思います。

そこで、「発達障害というものがあるらしいんだけど、当てはまりそう?」「相談機関があるらしいよ。相談してみては?」と専門機関へ繋げられることができると思います。


できれば、職場の上司の方が相談に付き添ってあげられるとなお良いと思います。

その理由としては、職場での本人の様子、問題となっていることは本人自身では十分に伝えられない可能性があるというのが一つの理由です。そして、気がついている人の場合、自分が障害を持っているのではないかという不安が多分にあります。その状態で上司が付き添ってくれるというのは、障害でも見捨てられない、なにかしらの対応をしてくれるという期待がその人の不安を低減させる為です。

また、実際に困っている職場、コミュニティでその人にどのように対応すれば良いのかというアドバイスを専門家から具体的に受けるには職場の人、特に上の立場の人がいるとスムーズにアクションを起こせるというのも大きなメリットです。


基本的に、自覚症状がある方への対応は、まずこの流れが最もスムーズかと私は考えています。

発達障害の方への対応も、その人その人によって対応が変わってきますので、専門家のアドバイスがあると、周りの人も幾分楽になるかといます。




より大変なのは、自分が発達障害ということに気がついていない方への対応です。

自分が周りのコミュニティを巻き込み、疲弊させていることに気付かず、さらに自分の特性故の困り感がないとなると大変です。

このような人の場合、ある程度強制力が必要になるかもしれません。

気付いていないひとにも「困ってない?」という上述した内容は有効です。ここで「あっ、あるかも」と思ってもらえたら上述した対応が可能になると思います。


それでも気付かない人に対しては、上司権限で専門機関に繋げる、客観的な証拠を集めて受診を促すと言ったやや強制的な対応が必要になるかもしれません。


しかし、あくまで理想は自分自身で相談機関にかかることですので、できる限りその努力はしてほしいというのが私の願い出もあります。


つまり、強制的な手段は最終手段だと思っていただいて良いと思います。

あとは、とりあえずその周りにいる人が相談に行くと言ったことや、発達障害について少し勉強してみるというのも有効です。(おすすめのサイトや本は最後に紹介します)



<発達障害への対応の難しさ>

さて、ここで発達障害の人へ対応する難しさについて少しお話しておきたいと思います。

はっきり言いますと、発達障害へ対応することは職場に相当な余裕がないと難しいです。

ですので、たとえ上手く行かなくても自分自身や組織を責めないで欲しいと思います。そのような場合は純粋に距離をとるということが良い場合もあります。


お恥ずかしながら、こころの専門機関においてもスタッフにそのような傾向を持っている人がいると非常に対応が困難です。

つまり、専門家にとっても非常に難しい問題なんです!!


ですので、対応できれば万々歳ですが、対応できないことは当たり前だと思って頂いていいと思います。

最終的にはその発達障害をもっている人からの歩み寄りと定型発達(いわゆる一般大衆)の人との歩み寄りです。

妥協点を見いだし、組織が適応的になるというのが最終的な目標です。


どちらか一方が無理をする関係はその時点でストレスフルですので、失敗している状況だと考えてよいと思います。


まとめます。

1.対応が難しそうであれば、距離をとる
2.発達障害を持っている人からの歩み寄り & 定型発達の人からの歩み寄りが必要
3.専門家集団でも組織内にそのような傾向を持っている人がいると対応しきれない程難しい問題である。


ということだと思います。

ですので、対応できないことによって自身や組織を責めず、その人を責めないで欲しいと思います。

やりすぎず、やらなすぎず、できる範囲のことをやるというのがちょうどよいのです。



<サイト紹介 図書紹介>
・ 「発達凸凹活用マニュアル」
ピアサポ De コンサル という法人さん作られている「発達凸凹活用マニュアル」です。無料でこのクオリティはとてもよくできていると思います。
1と2があります。実際の体験談から職場での工夫までバランスよく書かれている様に思います。
  http://consul.piasapo.com/manual
・ 「毎日やらかしています。アスペルガーで、漫画家で」沖田✖華 ぶんか社
漫画形式で笑いながらすいすい読めます。著者自身の事を書いているので、リアリティがありおもしろいです。活字が苦手という方にはおすすめです。
http://sokuyomi.jp/product/mainitiyar_001/CO/1

・ 「ますます毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で」
「毎日やらかしています。アスペルガーで、漫画家で」の2作目です。一作目を読んで気に入ったら良いと思います。
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No,28 Clinical Psychology 「発達障害がある方への対応〜彼らの周りにいる人へ向けてのメッセージ〜Ⅰ」

<発達障害がある方への対応〜彼らの周りにいる人へ向けてのメッセージ〜>

最近話題の発達障害についてです。

職場に発達障害傾向がある方がいて困っているという相談を受けることが増えていることや、発達障害そのものに対する記事や図書は多くあるものの、周りにいる人に向けたものは少ないことから、そのような人の対応について私の考えることを書いてみようと思った訳です。


<発達障害とは?見極めのポイント>

まず、発達障害とはなんぞや(?)ということですが、ここ数年世間一般的に馴染みがあることばでいうと「アスペルガー障害(症候群)」「注意欠陥多動性障害(AD/HD)」「自閉症」などなどがいわゆる発達障害です。

比較的新しい概念としては「自閉症スペクトラム障害(ASD)」があります。
聞いたことがあるでしょうか?

自閉症圏の発達障害、つまり多くの一般人が関心のあると思われる「アスペルガー障害」などの最も問題となるのは、「コミュニケーションの障害」「社会性の障害」です。

いわゆるKYというのが社会生活の中では致命的な問題となります。そして、その人の周りにいる人(友人、職場の同僚など)を巻き込み、疲弊させてしまうという問題があります。

注意欠陥多動性障害(以下,AD/HD)傾向の人は、不注意が原因でいろいろな場面で怒られたり、衝動的に行動してしまい失敗する、場面に則した落ち着いた行動ができず批判を浴びるといったことがあります。

一般の人にも不注意などで失敗をすることがあるかと思いますが、その頻度や不注意の水準が度を超えており、日常生活に支障をきたしている状態がAD/HDです。

たとえば、パワーポイント資料の中に同じスライドが何枚もあるとか、電話の受話器が外れたままというのが一日に数回もあるといったレベルです。


代表的な症状は今述べたようなものですが、その幅は広くその問題の水準にも差があるため、一言では表現しきれないというのが正直な所です。


そのため、一般の人がそのような問題に気付くには次の点が参考になると私は考えています。

1. この人なんか変わっているなと感じる
2. 周りからのイジメの対象になったり怒られることが多い(つまり嫌われがち)
3. あれ?っと思うようなミスをする
4. コミュニーションが一方的(自分のことばかり話す)

生活の中で上記のようなことを漠然と感じる場合、その人が発達障害である可能性があると思います。(ないにしろ何かしらの問題はあると思われます)

そして、そのような人を中心にそのコミュニティが疲弊している場合、その可能性は更に濃厚になると思います。

また、別の言い方をすれば、発達障害の人がいてもコミュニティが疲弊しておらず、フォローできているのであれば、発達障害と捉える必要はありません。

逆に、発達障害の傾向が非常に薄くても、そのコミュニティがストレスフルであり、対応困難な状態まで疲弊しているのあれば、あえて発達障害として対応することもあるかもしれません。

つまり、言いたいこととしては、その人がいることによってコミュニティが疲弊しているかどうかというのが、対応していくかどうかという判断材料となります。(ちょっと変わった人だな〜と周りが対応できているかどうかです)

専門家ではない方が対応する一つの基準として、この周りの疲弊度という点を考えていただけるといいと私は考えています。


まとめると
・ 発達障害の人は日常生活の中で漠然と「あれれ?」と思わせることがある。
・ 第三者機関での支援を考える場合、そのコミュニティの疲弊具合(もちろんその人を中心とした)を一つの目安とする。
この二点を軸に考えていただけるといいと思います。


Ⅱの方で「理解と対応」について述べます。

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